ピューター(スズ合金)でVMAXのサイドカバーエンブレムを鋳造してみた

カテゴリー:DIY, vmax 投稿日:

以前このブログでも紹介させて頂いた空き缶と七輪を使ってのアルミ鋳造

その後約4年経ち、棒状の型に流し込んでステー類の削り出し用材料にしたり、鋳物のクッキー型を使うことでペンダントのようなものを作ったりはできるようになったのですが、残念ながら実用的な造形物の鋳造には未だ至っていません。

石膏型、砂型、ロストワックス・・・色々な方法を試みているのですが、DIYで扱うには融解温度が高すぎることや、不純物の混入が避けられないことから、細かい形状のものを作るのは中々難しく・・・当初の目的であるバイク用パーツを作成できるようになるには、まだまだ相当の練習が必要そうです。

練習と言っても集合住宅住まいには簡単な話ではありません。農家の友人宅の敷地を借りなければやれませんし、セッティングその他にそれなりの準備がかかること、消費する木炭代も結構ばかにならないこと、気がつくと衣服が火の粉で穴だらけ・・・そんなこんなでモチベーションは徐々に落ち、実はこの1年ほどは完全に忘却の彼方。すっかり諦めていました。

そんな先日、テレビ番組で、アカデミー賞のオスカー像をスズ合金で鋳造しているアメリカの工房の様子を拝見しまして。

調べてみるとスズの融点はたったの250度程度。普通のガスコンロとステンレス鍋で十分溶かせます。

また、卑金属のイメージばかりが強いスズですが、実際には錆びにくく、美しい金属光沢があり、アルミより強度に劣る分、柔らかくて切削加工しやすいとのこと。

比重は鉄に近いので軽量化の面では全然駄目でしょうけど、古くから工芸品や食器に使われていることから考えても、それほど機械的強度を必要としないパーツに使うなら、十分実用に耐えそう。

早速材料を集め、多少なりとも複雑な形をした鋳造物の作成にチャレンジしてみることにしました。


まずはスズ素材を集めるところから。工業的にはありふれた金属であるはずのスズですが、鉄やアルミや鉛のようにその辺のホームセンターで買えるものではありません。必然的に通販に頼ることになります。

アマゾンあたりで探してみると純スズのチップが1kgで3000円程度。

べらぼうに高い訳でもないのですが、少しでも出費をケチろうということで、今回はヤフオクでキズモノのスズ製食器を探してみました。結果、送料手数料含め1.2kg分のピューターを2,000円ほどで調達。

ヤフオクで調達する場合はくれぐれも新同美品を落札してしまわぬようお気を付け下さい。今回僕はコースターとサラダボウルを落札しましたが、コースターの方は少し歪んでいるくらいで見た目は銀のように美しい金属光沢。ましてやそのまま使える美品なら、鋳つぶしてしまうのは罪とも言えます。

今回の錫素材となったピューターのコースター

また、アンティーク食器や置物用のスズ合金には鉛が多く含まれている場合もあるようなので、安全性を第一に考えるなら、先述の純スズ地金を購入した方が良いでしょう。


さて、素材も届いたことですし、本当に簡単に溶けるのか試してみます。ガスコンロの上に網を敷いてステンレスボールの中にコースターを投入。

ピューターをガスコンロで溶かす

はい、あっという間に跡形もなく溶けました。アルミのときの苦労が嘘のよう。

どろどろに溶けたピューター

その辺にあった木片に溝を掘って流し込むと・・・

木型に流し込んだピューター

ピューター製の金属棒が完成。意外と木片の細かいところまで再現してくれます。

出来上がったピューターの棒

フライス盤で削ってみると・・・もう惚れ惚れするような美しさ。

削って美しい光沢を放つピューター棒

アルミよりも柔らかい金属だけに削りやすさも感動的。それでいて強度は思っていたよりもあるようで、5mmくらいの厚みがあればちょっとしたステーには十分使えそうです。


早速次のステップへ。VMAX(1200)のサイドカバーのエンブレムを複製してみます。

VMAXのダミータンクカバーのヤマハ音叉マークや、サイドカバーのエンブレムは、実はプラスチックにメッキをかけたシロモノ。金属の固まりであることにアイデンティティがあるはずのVMAXにしては少々残念な部分なので、今回ピューター化を試みようと言う訳です。

まずは型作り。サイドカバーから剥がしたエンブレムをポリ樹脂のクリアフォルダに貼り付け、上から耐熱石膏をペタペタと塗っていき、ある程度固化したところでエンブレムを抜き取ります。

VMAXのエンブレムから石膏型をつくる

上手にやらないと気泡が入ってしまったり、エンブレムを抜くときにひび割れてしまったりしますが、まあ、2、3回も失敗すれば大体のコツはつかめるでしょう。

あとは出来上がった型を数日間じっくり乾燥させて、台の上で平面を出してから、溶かしたピューターを投入!

流し込んでから1分もすれば固まりますが、しばらくは熱いので要注意。使っているうちに型はひび割れてきますが、3回位は再利用できます。

石膏型から取り出したピューターのエンブレム

あとはリューターや棒ヤスリではみ出した部分を削っていきます。特に裏面の処理は根気が要りますが、アルミに比べれば嘘のように楽。で、とりあえず完成!

削ってみて完成したピューター製のVMAXエンブレム

写真は4個ほど作ってみて一番良くできたもの。やはり気泡や不純物がかなり入り込んでしまっており、仕上げれば仕上げるほどイマイチな出来になっていきますが・・・初回でこのレベルなら十分今後に希望が持てるでしょう。

などと言いつつも、エンブレムの鋳造はこれにて断念。実際に作ってみてはじめて分かったのですが、ピューターだとプラスチックに比べ予想外に重たくなってしまい(1個200g弱!)、両面テープや接着剤での固定では走行中にたやすく剥がれ落ちそうなのです。ネジ止めという手もあるのでしょうが、サイドカバーに穴を空けるのは嫌ですし。

まあ、アルミよりずっと手軽に鋳造できることはよく分かったので、また何か別のパーツで再チャレンジしてみるつもりです。夢が膨らみます。




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