さらば愛しのVMAX!4年9ヶ月で感じた長所と短所

カテゴリー:vmax, バイクと車 投稿日:

この前の東北ツーリングで色々思うところがありまして、つい先日、TW200(2JL)の中古車を衝動買いしてしまいました。

TW200

’96年式とちょっと古めですが、距離はメーター読み12,000km程度。機関や足回りもまあそんな感じで、タペット&カムチェーン調整、フロントフォークオイル&エンジンオイル交換などの基本整備だけで、一応は絶好調。

年式なりに、各部のサビは結構目立つ状態でしたが、ワイヤブラシと、ジンクスプレー(亜鉛塗料)、ラストリムーバースーパーラストガードなどを駆使して、ピカピカでは無いにしても夜なら綺麗に見えるだろうレベルにまでは半日位でなりました。まあ、その辺のお話はまた別の機会に。

とにかくオフ車ルックなノーマルのTWが良かったので、すぐに見つかって大満足。年式を考えるとノーマル戻しかもしれませんけど。

ちなみにこれまで所有してきた21台のバイクのうち、ヤマハ車はこれで10台目。うすうす気づいてはいましたが、僕はヤマハ党だったようです。


さて、一つ問題がありまして、団地住まいということもありVMAXとTWの2台所有というのが少々難しく・・・

お金持ちでもありませんので、TWの購入費&パーツ代をどこかから補填したくもあり、長年の相棒であるVMAXは手放してしまうことにしました。

所有期間4年9ヶ月。僕自身の走行距離は33,000キロ。ロングツーリングこそあまりしていませんが、数えてみたところ47都道府県のうち22都県は走破。若い頃の憧れのバイクに一度は乗ってみたいと、半年程度で手放す予定がここまで来てしまい・・・

多少の不具合はあるものの、日頃の整備の賜かメーター80,000キロを超えてなおエンジンは絶好調。まだまだ乗ってやりたい気もしますが、この切っ掛けを逃せば一生VMAX乗りでいることになりそうなので、ひとまずヤフオクに出品・・・わりと強気の価格を設定したのですが、即日・即決で買い手がつきました。

多走行でもそこはさすが、ヤマハの(当時の)フラッグシップモデルです。

新しいオーナーは、自動車関連のお仕事をしている元ビッグバイク乗りということで一安心。僕のところに居るよりVMAXも幸せかもしれません。良かった良かった。

今までありがとうVMAX。事故もなければキップを切られることもない、本当に幸せな4年9ヶ月だったよ。

VMAXと富士


というわけで、今後ブログに書けるほどのVMAXネタも出てこなくなりますので、細かいことを忘れてしまわぬうちに、この数年間のオーナー生活で感じたVMAX1200(逆車)の長所と短所を5個ずつ挙げておこうと思います。

ただし、あくまで僕の主観に基づいた感想です。何か間違いがあったとしても責任はとれませんので、あくまでご参考程度に。

VMAXの長所

発進加速はいまだ一線級

もはや旧車の分類に入るVMAX1200ですが、逆車は腐っても公称140PS~145PSの大出力。さすがは当時の量産市販公道車最高出力・ゼロヨン最速のドラッグレーサーレプリカといったところで、シグナルGPだけはいまだ一線級です。もちろん絶対的な性能ではリッターSSやメガスポーツに敵うものではありませんが、低重心・ロングホイールペースということもあってラフなスロットルでもフロントが浮きにくく、直線である限りホイールスピン時の挙動の乱れも最小限。V型特有のトラクションの良さや、比較的ローギアということも相まって、法定速度+α程度までのスピードあれば、乗り手次第でまだまだ互角の勝負が出来るはずです。

意外とすり抜け性能が高い

左右のマフラーこそ張り出していますが、V4エンジンが成せるスリムなボディと怒涛の低速トルクは、ハンドル・ミラーの絶妙な高さや徹底的な低重心設計と相まって、非常に高いすり抜け性能を発揮します。片側一車線のどん詰まりの渋滞を除けば、僕がこれまで乗ってきたどのバイクよりも、VMAXの方が安全・快適にすり抜けできました。少なくとも、バイク便経験のある僕がそう実感していたことだけは確かです。

日常整備が非常にしやすい

プラグにアクセスするために外さなければならない外装パーツは一つもありません。エアクリーナーエレメント交換やヒューズ交換も鍵でダミータンクカバーを外すだけの簡単アクセスです。冷却水交換もダミーエアインテークを外してドレンプラグを外すだけ。エンジンオイル交換などは言わずもがな。ブレーキパッドなんてパッドピンを抜くだけです。シャフトドライブ車ということもあり面倒なチェーンやスプロケのメンテナンスも不要で、数千キロごとにシャフトオイルを交換するだけで済みます。

パーツにも情報にも全く困らない

絶版からまだそれほど時間が経っていないので、2013年10月現在、全ての純正パーツが新品で手に入ります。純正中古パーツにも全く困らず、ヤフオクで2~3ヶ月も探せば、フレームから一台組めるだけの部品が揃うはずです。もちろん改造パーツも新品・中古を問わずいくらでも手に入ります。また、多くのユーザーに愛されてきたバイクだけあって、Web上の情報を探せばメンテナンスデータ・セッティングデータ・フィッティングデータが簡単に見つかりますので、サービスマニュアルが無くとも一通りの作業に困ることはありません。

やはり所有感がある

発表当時の1985年、世界を震撼させた145馬力・ゼロヨン10秒台の圧倒的なスペック。バイク好きでなくとも思わず目をとめてしまう力強くセクシーな造形美。22年間に及ぶロングセラー。ヤマハのフラッグシップモデルだけあって、細かいパーツに至るまで良く造りこまれており、安っぽさを感じる部分はほとんどない。いくら新型が登場し型落ちしようが、初代VMAXが世界のバイク史に永遠に語り継がれる伝説のオーバーリッター車であることに変わりはなく、購入して所有感が沸かないはずがありません。僕がこれまで乗ってきた21台のバイクの中で、自分のアイデンティティにまで踏み込んできたのは、VMAXの他にはTZR後方排気があるだけです。

VMAXの短所

とにかく重たい

やはり乾燥重量260kgの巨体はバイクとしては重たすぎます。エンジンを切っているときの取り回しは最悪ですし、それを押して歩く靴底の減りも異様に早いです。整備時もメインスタンドをかけるのだけは苦労します。

低い限界性能と薄い人馬一体感

これも重たすぎるのが原因なのでしょうが、とにかく走りの限界が低いです。サスも弱いし、フレームも弱いし、タイヤも細い上にハイグリップラジアルは履けない。ブレーキも今日のバイクと比べれば嘘みたいに効きません。ワインディングは当然のこと、法定速度+αの世界は恐怖でしかありません。また、バイクらしい人馬一体感は本当に希薄で、入力に対する応答は何もかもダル。一般的な「バイク」のイメージは捨て、「VMAX」という別の乗り物だと割り切ることが肝要です。VMAXに慣れた後で他のバイクにまたがると、そのあまりの乗りやすさとダイレクト感に驚くことでしょう。

短い航続距離

良くてリッター15~16km程度の燃費でありながら、ガソリンタンクは僅か15リッター。燃料警告灯が点いてからの残量も3リッターしかなく、余裕をみて150kmごとの給油は欠かせません(高速道路でSA通過直後に警告灯が光ると結構ショックです)。僕の無給油最長距離は省燃費走行に徹して走ったときの220km(残量1リットル)。マスツーリングをするとき、他のライダーに気を遣わせてしまうことがしばしばあります。

暗すぎるライト

マッチョなボディに小口径のライトはVMAXを象徴するデザインの一つではありますが、そのライトハウジングはなんとビラーゴ250と共通のもの。街中ならともかく夜の山道や高速道路では、80km/hでも光量不足。じゃあHID化をと思っても35Wクラスではレンズカットの関係でかえって見にくくなる始末。バッテリー上がりを覚悟の上でハイワッテージバルブ化または60WクラスのHIDにするか、デザインを崩してでも大型マルチリフレクターを入れるか。とにかくノーマルライトのままでの深夜ツーリングは危険がいっぱいです。

ノーマルマフラーでも結構うるさい

公称140PS~145PSの大出力をひねり出すべく、逆車のVMAXはマフラー出口が国内仕様の25mmに対し30mmと面積比で1.44倍も太くなっています。結果、ノーマルマフラーでありながら爆音一歩手前のやかましさ。所謂バカスクのスーパートラップよりもVMAX逆車ノーマルの方がうるさいかもしれません。もちろんそれでも音量規制値内には納まっているわけですが、夜間の暖気は間違いなく近所迷惑であり、正直出かけるのがおっくうになります。うるさいバイクが好きな人にはメリットかもしれませんけど。


まあ、考えればまだまだいくらでも出てくるわけですが、僕にとって重要だったことはこんなところかと。悪いポイントの中には、たぶん少しの改造で緩和されるものもあると思います。

いちおう正直なところを申し上げておくと、友人・知人からVMAX1200ってどう?と相談があったとしたら、僕は間違いなく反対すると思います。多分僕自身、この先もう一度所有することはありません。もっと楽しく走れるバイクが他にいくらでもあるからです。

確かに、昨今の中古車事情であれば60万円もあれば上玉が探せるので欲しくなってしまう気持ちもよく分かるのですが、それだけあれば主要な大型スポーツ車は大体買えますし、アメリカンが好きな人ならハーレーだって狙えます

僕は幸い無事故無違反で乗り切りきることが出来ましたが、一般的には危険なバイクの筆頭格。買うと決意した場合でも、事前に試乗をしてから契約書にサインすることを、強くおすすめします。

また、世間で言われているほど壊れやすいバイクとは思いませんでしたが、基本設計が80年代前半の旧車であることは確かです。ベストコンディションで長く維持するには、最新のバイクよりマメなケアが必要だと言うこともお忘れなく。



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